世界有数の色見本帳メーカーとして知られているアメリカのパントン社は独自のトレンド分析を基に毎年12月に翌年の流行色となる「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表しています。同社より毎年発表される色は、次の年のテーマカラーとしてプロダクト、インテリア、グラフィックデザインやファッションなど多くの分野の商品開発や消費者の購買行動の素として22年間に亘り影響を与えてきました。2021年のカラー・オブ・ザ・イヤーは「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」です。

通常は流行色として1色が発表されることが多く、22年間の間でパントーン社がカラー・オブ・ザ・イヤーに2色を選んだのは、2016年の「セレニティー」と「ローズクォーツ」以来2回目のことです。今年の流行色である「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」は、それぞれが独立した色でありながら、お互いを引き立て、補い合える意味を含むカラーです。

今年は昨年に起こった世界的な影響を踏まえてこの対照的ともいえる2色が選ばれました。PANTONE 17-5104 Ultimate Gray (アルティメット・グレイ)は、数あるグレー色の中でも主張しすぎないシンプルで落ち着いた色です。この色は目まぐるしく変化していく世の中にあって、揺るぎない安定感を表しています。

PANTONE 13-0647 Illuminating (イルミネイティング)は柔らかく陽気なイエロー色で、春の訪れや温かく包み込む様な太陽の光を象徴しています。活気的で心が晴れやかになる色合いです。この2色を掛け合わせることで、どの様な境遇の中でも確固たる信念を基に相手への思いやりや希望を持って歩んでいくというポジティブな願いが含まれています。

2021年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」をどの様に日常のインテリアやアパレル、小物などに取り入れられるでしょうか。パントーン社はこの2色を同じ割合で用いる必要はなく、プロダクトデザイン、パッケージング、インテリアや日々のコーディネートどの分野においても、どちらかの色に比率を置いて使用することも推奨しています。落ち着いた色「アルティメット・グレイ」とエネルギッシュな色「イルミネイティング」の割合を調整することによって様々な雰囲気を楽しむことができます。

色は私達の生活に影響を与えます。色には無意識のうちに人間の心理に働きかける効果があると言われています。トレンドの色を上手に取り入れることで、商品の与える印象を変えることが可能です。本当の売れ筋はベーシックな色合いの商品かもしれませんが、人目を引く役割を果たしてくれるのが、トレンドカラーのパワーです。

パントーン社が発表した今年の流行色をはじめ、2021年のインテリアトレンドを中心にカラースキーム別にご紹介します。アメリカの住宅で取り入れられるであろう色を意識して、商品のデザインや色を決めていくことが大切です。

2021年のインテリアトレンドをカラースキーム別にご紹介

Grey and Yellow(グレー色とイエロー色)

グレーは数年前から人気があり、インテリアデザインでもよく使われる主な色の1つです。グレー色にはほんのり紫がかった薄い灰色の霞色から、黒に近いダークグレーのグラファイト色など様々な色合いがあります。ライトグレーはスペースを広く見せ、落ち着いた空間にする効果があります。またグレーは他の色との相性が良いのも特徴です。一方でイエロー色は少しの割合でも加えると目を引き、明るい印象を与えます。集中力や記憶力を高めるのに効果的な色で、インテリアのアクセントとしてクッションや小物など変更が可能なものから始めると日常に取り入れ易いです。

② PANTONE TREND COLORS AND FIVE COLOR PALETTES(パントン社の流行色と5つのカラーパレット)

パントン社は2021年のトレンドカラー「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」の発表に伴って、この2色を他の色と組み合わせることによってどの様に取り入れられるか5つのカラー・パレットを用いて提案しています。

AVIARY

鮮やかで魅力的な色合いの鳥の羽をシンボルにした、活気溢れるカラーの組み合わせです。自然界の鮮明な色を基に澄んだ青色、ピーコックブルー、鮮やかなピンク、透き通った白色が含まれています。

ENLIGHTENMENT

日常から離れて異次元の世界へと導くような催眠空間を彷彿させるカラーの組み合わせです。「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」の2色は潜在する能力を引きだし、自己啓発へと促します。月明かりの輝きをイメージしたフルレッドクリスタル(Lead Crystal) 色、天体の色を表すラベンダー、プリズム・ピンク、静穏な空色がこのグループには含まれています。

INTRIGUE

香辛料や花などからイメージを受けた好奇心をそそる色が結合されたカラーパレットです。個性的な色彩でありながら、タイムレスな快適さも表せるなど様々な表情を持ったグループです。香料のみちすじを表すスパイス・ルート色、フェネルシード、ヤナギソウの花の色(Willowherb)、アイリス・ブルームが含まれています。

ORBITAL

宇宙の神秘が集合した銀河の様な光輝くメタリックカラーの組み合わせです。このパレットには未知の世界への探求心と情熱が表現されており、ゴールドのGlitteratti色、星の輝きをイメージしたクロム、ゴールデンイエロー色のリュクス・レモン、赤い星雲の様なスペース・チェリー、麗しい青色のヘブンリー・ブルーが含まれています。

SUN AND SHADOW

年齢や性別を超え人類の根源にあるものに心惹かれる様を「太陽」と「影」に比喩して表現したカラーパレットです。このグループに含まれている色はブルー・ナイト、ワイルド・ジンジャー、オイル・グリーン、シャドー・グリーンです。

③ AEGEAN TEAL (エージアン・ティール)

パントーン社が毎年発表するカラー・オブ・ザ・イヤーが世界的に有名ですが、北米の大手塗料メーカー、ベンジャミンムーアもカラーデザイン専門のチームが色を厳選し、毎年トレンドペイントカラーを発表しています。ベンジャミンムーア社が2021年の色として選んだのは「エージアン・ティール」、エーゲ海のブルーグリーン色です。エージアン・ティールは深く心が癒されるナチュラルハーモニー色です。2020年から外出を制限され、家に居る時間が増えた状況の中で、旅に行けなくとも家の中でエーゲ海のティールカラーで落ち着いた気持ちで過ごせる居心地の良い空間を楽しんで欲しいというベンジャミンムーア社の願いが込められています。また同社はエージアン・ティールに合う11色のコーディネートペイントカラーも発表しました。2021年のカラー・トレンド・パレットに選ばれた色は、エージアン・ティール、グレー・カシミア、アトリウム・ホワイト、モスリン、フォギー・モーニング、アマゾン・ソイル、シルエット、キングスポート・グレー、ビーコンヒル・ダマスク、チェスタータウン・バフ、ポッターズ・クレイ、ロージー・ピーチです。

④ EARTHY, GROUNDED SHADES(アースカラー、グラウンド シェード)

広大な自然の中で大地を踏みしめるような感覚を表した自然で素朴なカラーパレットです。温かみのある緑、深い赤、こっくりとした茶色、マッシュルームカラー、苔や錆の色などしっとりとして落ち着いた色合いは心地よく、居心地の良い空間となります。

⑤ WARM COLORS(暖かい色)

暖かみのある色は自然と人を明るい気持ちにさせてくれます。バーントオレンジやピーコックブルーなどはグレーやネイビーなど濃い色とも相性が良く、空間に奥行きを加えます。暖かい色味は寒い時期だけに限らず、一年を通して歓迎される色です。

⑥ NEUTRAL COLORS(ニュートラルカラー)

ニュートラルカラーを壁や床、家具などに用いることは最も人気な方法の1つです。ニュートラルカラーはスペースを広くみせる効果があり、柔らかな色調は巧く光を取り入れ空間をより明るくします。ニュートラルな色を組み合わせることで、穏やかで洗練された環境をつくることができます。シンプルで自然な色合いが健やかな心身を養います。

⑦ BOLD CONTRASTING COLORS(大胆なコントラストカラー)

対照的な色合いの組み合わせは2021年のカラートレンドの1つです。コントラストカラーとニュートラルな色合いの組み合わせは奥深い空間を生み出します。目を引く色を1つか2つに絞り、その他のインテリアをニュートラルカラーにすることでバランスの良いスペースとなります。

色を活用してトレンド感を出す

「色」を活用することで、商品ライン全体がスタイリッシュで魅力的な印象を与え、消費者やバイヤーの目に留まりやすくなります。上手にトレンドの色を取り入れるためにも、毎年パントーン社の発表を分析することは必須です。皆さんもこのレポートを上手に活用してみて下さい。

Keiko Matsuura
Keiko Matsuura 商品販売サポート部門ディレクター