DTCのブランドとして歴史を作ってきた眼鏡ブランドのWarby Parker(ワービー・パーカー)が上場することが発表されました。

Warby ParkerはDTCブランドのビジネスの参考例として必ず出てくる程の、DTC代表格のブランドです。またDTCスタートアップの中では珍しく黒字化を達成した例としても挙げられています。日本でもそのブランド名を聞いた方も多いのではないでしょうか。

Warby Parker のウェブサイト

ただ、この成功例と言われているWarby Parkerですが、今回の上場申請時の資料によって、黒字化への道のりは依然として安定していないことが明らかになっています。2019年には収支が均衡したものの、2018年には2,290万ドルの損失を、2020年には前年比6.3%増の3億9,370万ドルと売上伸ばしたものの、5,590万ドルの損失を計上しています。

先ほど「珍しく黒字化を達成した」と記載しましたが、多くのDTCブランドは赤字で利益が上げられないまま、現実は名ばかりが有名になっているブランドが数多く存在しています。Walmartでも取り扱いされている、有名なサプリメントブランドRomanや Roryを運営する会社Roは2020年、2億3,000万ドルの年間収益を上げていますが、まだ利益を出していません。

なぜ、DTCブランドは利益を上げられないのか?

その最大の要因は、顧客獲得コストの高さです。

Facebookをはじめとするデジタル広告プラットフォームの広告のコストは以前上昇しており、デジタルエージェンシーAisle Rocketの分析によると、2021年3月のFacebook広告費は前年同期比で30%増加していると指摘されています。もちろん業界によっても違いはありますし、2020年の3月はCOVID-19の影響で広告をストップした企業も多かった為、広告コストが下がっていたとされています。その為、昨対比ではよりその上昇幅が大きくは見えますが、上昇傾向は今だ続いており、今年のホリデーシーズン時の更なる高騰が懸念されています。

これまで以上に、如何にして新規顧客へのアプローチを行い、その顧客獲得コストを下げるのか、が重要になっています。

“店舗”という可能性

近年、Warby Parkerは顧客獲得のために、デジタル広告よりも店舗への依存度を高めています。2019年の売上高の65%は、全米にある145店舗程の小売店からもたらされたとのことです。その他有名なDTCブランドで実店舗も持つ、CasperUNTUCKitもより多くの顧客を獲得する方法として店舗数の拡大を行っています。

Warby Parkerの店内
Casperの店舗
UNTUCKitの店舗

近年の注目DTCブランドの実績からも、実店舗の展開はより収益性の高い顧客獲得の一つと示唆されています。しかしながら、新興ブランドにとってハードルが高く、課題が多いのも事実です。

店舗展開の為の初期投資やリース契約に始まり、店舗の内装にも数万ドル、人材の獲得に教育、そして家賃など毎月のランニングコストと、今までオンラインのみで抑えられていた多数の経費が発生することになり、リスクも多いと言えます。

「DTCブランドに店舗を貸し出す」新たなビジネスに注目

“実店舗での新規顧客獲得は魅力的だし、ビジネスのスケールアップは行いたいが、そこまで今投資できる余裕はない。またそこまでコミットするリスクを負うことは現状できない。”

多くの新興DTCブランドは同じ悩みを抱えているかと思います。

そこで、最近DTCの実店舗出展を支えるサービス、Leapが注目されています。

Leapのウェブサイト

Leapは簡単に言うと、DTCブランドと物件所有者の間に入り、かつ店舗運営を代行するサービスです。立地が良く、条件の良い物件を予めLeapが抑えており、リースの契約はじめ初期投資にかかるコストや手間はLeapが行います。DTCブランドは長期、または短期でLeapと契約し、Leapが持つ物件をマンスリーでレンタルできるというもの。加えて、ストアオペレーションやカスタマーサービスもすべてLeapが行う、というのも魅力の一つです。

ブランドが提供することは:

①ブランドの看板と商品説明やブランドストーリーの準備
②月額の店舗オペレーション費用の支払い
③売上のコミッションパーセントの支払い

Leapが提供することは:

①好立地のロケーション
②ストアーデザインとデベロップメント
③日々の店舗オペレーションとマネジメント
③Leapのオムニチャネルテクノロジーの提供
③店舗でのデータとインサイトの提供

このサービスの実現により、店舗は初期でかかる費用とリスクを下げ、スピード感をもって店舗スタート、ブランド認知度を向上させ新規顧客を獲得すると共に、店舗での売上獲得を目指せるようになります。

LeapのニューヨークのWest Villageにある店舗の紹介動画

Leapにはつい先日新たに1500万ドル投資も入ったことも発表されており、Leapのプラットフォームを2021年中に50店舗、そして2022年末まで250店舗へと規模を拡大させる予定のようです。

さいごに

パンデミックの影響による物流コストの増加、原材料価格の高騰と、ブランド側に突き付けられている課題は止むところを知らず、苦戦を強いられている日本企業の皆さまも多くいるのではと存じます。

今日は、店舗での可能性というところに注目して記事を書きましたが、他にもTikTokやDiscordなど新たなソーシャルメディアでの広告展開、Out-of-home advertising(屋外広告)への投資、インフルエンサーとのパートナーシップの増加、リワードプログラムの構築など、各ブランド、新規顧客開拓の為に数多くの手法をトライしているのが見受けられます。それぞれの商品特性や業界、ブランドの状況によってトライできる手法も様々です。データと上手く付き合いながら、諦めずに挑戦を続けることが、大切だと日々感じています。

Actus staff
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