2020年上旬より猛威を奮っている新型コロナウイルスによるパンデミックも、アメリカの食生活に大きな影響を与えています。これまで述べたような、ホームクック傾向の促進、健康意識の高まりへの貢献の他にも、以下のような例があります。

オンライン料理教室

自粛期間には家庭内で過ごす時間が増え、多くの人々が自らの生活を見直す機会となりました。そうした中で、新たな形で料理を学ぶことのできるオンライン料理教室のサービスが発達しています。

オンデマンドで視聴可能なもの、リアルタイムで同時進行するもの、さらに使用する食材を事前に配達できるサービスまで、様々です。これは、食生活を豊かにするのみならず、人々の自粛期間を彩る手段になりました。主催者も、大きなスペースや設備を用意せずとも簡単に配信できるため、新たなプラットフォームとして有用です。

料理のレシピは、簡単な家庭料理からプロレベルのベーキングまで網羅しており、ビーガンや多文化のクラスもあり、選択肢の多さが魅力です。価格帯は、食材なしで月20ドル前後のサブスクリプション形式が一般的です。

テイクアウト・デリバリー

外食が憚れるようになり、ホームクック傾向が高まったことは事実ですが、一方でレストランやカフェでのテイクアウト・デリバリーのサービスも需要が大きく増加しました。これまで、こういったサービスに寄与していなかった店舗でも新たに導入されるようになり、食の選択肢が多様化したとも言えます。

2020年の第1・2四半期において、アメリカの代表的なデリバリーサービスである“DOORDASH”“Uber Eats”“GRUBHUB”“Postmates”の4社の売り上げは、合計約55億ドルに達しました。これは、前年比2倍以上に成長したことを示しています。

さらに、テイクアウトも需要が増加しています。こうした理由から、イートインの食事エリアを持たず、デリバリーとテイクアウトのみに特化した“ゴーストレストラン”という形態のビジネスも注目されています。

アルコールの需要増加

パンデミックの中、自宅で飲酒を楽しむ人が急増した結果、アメリカ内では多くの地域で供給が追いつかない事態に陥りました。その後もサプライチェーンにおいて、海外輸送の値上げや輸送トラックの不足といった問題が顕著になり、いまだに酒の供給が追い付いていない地域も見られます。加えて、アルコールの製造では、原料の製造から提供までに非常に長い時間を要するため、需要に合わせて即時に生産量を変更することが難しいのです。

結果として、一部のアルコール飲料の購入について、ペンシルバニア州では1日2本まで、バージニア州では1日1本までに制限するという発表がなされています。流通においては、消費者たちは常に末端にいるため、こうした変化を不可抗力として受け入れざるを得ないのが現状です。

Keiko Matsuura
Keiko Matsuura 商品販売サポート部門ディレクター