近年DTCブランドのホールディングカンパニーの設立が増えています。消費財メーカーのP&Gのように、一つの会社が複数のDTCブランドを展開する形態です。

この流れの大きな背景としては、DTCブランドが単独では事業のスケールアップが容易ではないことが挙げられます。複数のブランドを1つの会社の下にまとめることで、効率的にブランドを伸ばし、更に運営コストを共有することで、より早く収益が出せるようにできるのではないかという考えが、ホールディングカンパニーの増加に繋がっているようです。

Gin Laneというブランディングエージェンシーを前身とするPatternや、ファッション系ホールディングカンパニーのDigital Brands Group、そして先月9月には焚火商品で人気のSolo Stoveが、その社名をSolo Brandsへと変更、3つのアウトドア向けアパレルブランドを買収し、ホールディングスカンパニーとしてスタートしています。

Solo brandsのウェブサイト

ホールディングとしてブランドを運営する利点

マーケティングやオペレーションのコストを削減

開発、マーケティング、コンテンツ作成&デザインなどの各チームを共有することができ、またブランドによってはサプライヤーも共有することも可能です。一つのブランドでは雇うことが難しかった優秀な人材や設備を整えることにも繋がり、パフォーマンス力の高いチーム編成を組めることにも繋がります。

また、同じチームを活用することで、知識や共有することができ、経験値の高いチームで運営が可能になります。初めてのことに挑戦する際に起こりがちな失敗を未然に防ぎ、かつ非効率な業務を軽減させることができます。

ターゲットを狭め、ブランドの「価値」を明確に提案ができる

一つのブランドで収益を上げる為には、比較的大きくターゲットを定めたブランディングとなる傾向があります。そこでホールディングスとして、異なる価値を提供する複数のブランドを運営することで、それぞれのブランドはその価値にあった範囲のターゲットを狙い撃ちするマーケティング戦略をとることが可能です。

例えば、昨年設立された家具のホールディングカンパニーResidentは、現在4種類のマットレスブランド、ソファブランド、ラグブランドで計6種類のブランドを展開しています。一つの家具ブランドを作ることも可能なところを、あえて6つのブランドに分けることでそれぞれに違うブランド価値を持たせ、違うターゲットを狙う戦略をとっています。Resident社のマットレスブランド「Awara」はエコフレンドリーを全面に打ち出し環境に配慮した消費者向け、一方「Level Sleep」は腰痛に悩む消費者向けのマットレスとして位置づけられています。

デジタルネイティブ世代にとって、このブランドは何にこだわりと情熱があるのか明確に打ち出しブランドカラーをしっかりと見せて、コミュニケーションをとることが大切になっていることがこの戦略が有効な背景にもなっているようです。

既存の顧客リストを最大限活用できる

すでにブランドを運営している段階で、新規ブランドを立ち上げる際などには、すでに他のブランドの購入層である顧客に新ブランドの立ち上げの案内を流したり、プロモーションを行ったりすることが可能になります。よって全くの新規でブランドの立ち上げを行うより、確実により早く成長させることができます。

前述したSolo Brandsが「アウトドアのライフスタイル」を提供するホールディングスであるように、基本的にはホールディングスとして一つの軸やミッションを掲げて複数のブランドを展開していることが多いです。その場合、それぞれのブランドでターゲットが被る層も多く存在する為、メールマガジンでの案内等を通して、各ブランドで集めた消費者の共有、ひいてはホールディングスのファンとさせることも見込めます。

さいごに

もちろんホールディングスとしてブランドを運営するには、一つのブランドを運営するよりも多くの人員に資金と会社として体力が必要です。また、一つ目のブランドで顧客をいかに低コストで効率よく獲得する方法を見出す前に、2つ目、3つ目のブランドの立ち上げを急いだりと、急激に事業を拡大すると、大きくを損失を出す危険性もあります。

加えて、新規顧客開拓をFacebookやGoogleの広告に大きく依存している限り、DTCブランドの最大の課題である顧客獲得コストを下げることはできません。上昇を続けるデジタルマーケティングのコストと向き合い、いかに収益性の高いブランドを構築していけるか、顧客の傾向や期待により沿い、常にトライ&エラーで挑戦を続ける必要が大切と言えるでしょう。

Actus staff
Actus staff