By HAWORTH Inc.
(訳:有保充 Key International, Inc.)

研究に裏打ちされた、よく考え抜かれたオフィスデザインは、会社にとってもそこで勤務される社員にとっても大きな利益をもたらすといわれております。働く空間、ワークプレイスへの投資が、あらゆる規模の企業にとって何故、必要なのか、私達メーカーからの視点で述べさせて頂きます。

① 魅力的で優れたデザインのオフィス = 新たな人材確保及び社員の定着率向上

COVID-19 ワクチンが普及し、仮に会社が新たな健康対策を講じたとしても、多くの社員は職場に戻ることを躊躇します。そのためにも、週に2〜3 日のオフィス勤務、残りはリモートにするといったハイブリッド型勤務を採用することは、多くの企業にとって、必然的な取り組みになりつつあります。

“The office is a tool for encouraging employees to work on-site—with the potential to
increase attraction and retention.”

オフィスは仕事や作業を行う場所であると同時に、個々やグループの活動やつながりの拠点としても重要な役割を果たします。人との交流をはじめ、コラボレーションや創造性を育む活動のために、オフィススペースを工夫し最適化することで、社員が行きたいと思うようなワークプレイスが提供できます。更に、社員が共有するスペースが雇用主のブランド価値を高めるものであれば、組織文化はより強化・進化されていくことは間違いありません。

財務的な観点からも、離職率が高い会社は、欠員を補充するために絶えず採用活動を行わなければならないコストやノウハウ・人脈などの無形資産の流出に比べ、社員が過ごしたいと思うようなワークプレイスを創造していくほうが建設的でメリットがあります。あるリサーチによると、採用一人あたりの平均コストは4,425 ドルで、役員の場合は14,963 ドルといわれています。

またLinkedIn の記事によると、強い雇用者ブランドを持つ企業は、一人当たりの採用コストを43%削減すると述べています。雇用者ブランディングを取り入れながら、ワークプレイスをデザインしていくことで、組織文化の形成を強化するだけでなく、理想的な候補者を採用しながらコストを削減できることが考えられます。 さらに、人とのつながりを重視したコラボレーションがしやすいスペースは社員の帰属意識を高めます。

Harvard Business Review 誌に掲載されたCenter for Talent Innovation の調査結果によると、帰属意識の高い社員は生産性が高く、モチベーションも高く、自分の可能性を最大限に発揮できる能力が、帰属意識の低い社員に比べ、3.5 倍も高いとのことです。 また帰属意識の高さは、仕事や作業のパフォーマンスを56%向上させ、離職率を50%低下させ、病欠日数を75%減少させるという結果も公表されています。社員への配慮も行き届いた魅力のある空間づくりを実現していくことで、会社全体のパフォーマンスを高めていくことに繋がります。

② 魅力的で優れたデザインのオフィス = 社員の福利厚生向上及び医療費削減

優れたデザインのオフィスは、社員の福利厚生面での向上にも役立ちます。健康を促進する物理的な環境は、従来のウェルネスプログラムよりも効果があるといわれています。姿勢の変化を促す動きや活動は、消化や血液循環など体内の活動を促進させるほか、筋骨格系の健康を促進させ、怪我や障害のリスクを軽減する効果があります。

米損害保険大手リバティ・ミューチュアル社の調査によると、過労死は、最もコストのかかる労働災害ですが、物を持ち上げたり、押したり、引いたり、持ったり、運んだり、投げたりすることに関連する傷害を含めて、これらの傷害が全米雇用者コストの23.5%、年間総額約139億ドルを占めると推定されております。また微小作業を伴う反復運動に関連した怪我や障害の労働者災害補償費は、毎年約20 億5,000 万ドル近くに達しており、全米雇用者コストの3.4%を占めているといわれております。

姿勢を改善できる人間工学を用いた椅子や昇降デスクやテーブルなどをはじめ、腱鞘炎防止に役立つマウスやキーボード、眼精疲労を軽減するモニターアームやOLED デスクライト等といったアイテムをオフィスに設置することで首の緊張、腰痛、足の痛みなどの発生率をかなり軽減することが可能です。また安心・安全で快適で働きやすく動きが取れやすいオフィス環境にレイアウトを変更することで、社員の集中力、生産性や幸福感に大きな影響を与えるだけでなく、会社への帰属意識が高まる大きな要因でもあります。

③ 魅力的で優れたデザインのオフィス = 顧客満足度の向上

オフィスは、顧客にとって、単なるオフィスとして見てはいません。オフィスで反映されるワークスペースはサービスや製品だけでなく、組織文化や組織風土が自然で出るものです。だからこそ、色やグラフィック、建築、雰囲気など、ワークスペース全体に会社が持つブランドの要素が含まれていることがとても重要になります。ブランドが反映されたオフィスは、第一印象を良くするだけでなく、会社全体がプロフェッショナルな組織で有能であることを明確にし、そこで競合他社との差別化を図っていけるものです。

自社のブランドを反映したオフィスは、見込み客やバイヤーに素晴らしい印象を与えるだけではなく、社員にとってもポジティブな体験が可能な場として認識することができれば、会社全体のパフォーマンスを高めることに繋がります。

例えば、マサチューセッツ工科大学の調査によると、社員がその会社に所属することで得られる体験、いわゆる社従業員体験(Employee Experience)を重視している会社は、顧客満足度が2 倍になるという結果が出ております。 オフィスとは、単に机や椅子、コーヒーバーなどを月単位で借りるためものだけではありません。

さいごに

会社にとって、オフィスは成功のための重要なイニシアチブを促進させる大切なツールです。社員への配慮も行き届いた魅力のある空間づくりへの投資を、改めて見直してみてはいかがでしょうか。

**英語参考文献リンク:How to Make Your Office More Than Just an Office | Haworth

Maho Inaba
Maho Inaba