2025年7月4日、大統領は「税制調整法案(Reconciliation Bill)」に署名し、特定のオーバータイム賃金が連邦所得税の課税対象から除外されることが正式に法律として成立しました。
この措置は、ノンエグゼンプト労働者の手取り額を増やし、インフレ対策の一環となるよう意図されて作成されています
連邦所得税における主な変更点:
項目 | 内容 |
対象賃金 | 米国労働基準法(FLSA)に基づくノンエグゼンプト労働者のオーバータイム賃金部分 |
非課税上限額 | 年間最大 $12,500(個人申告)または $25,000(夫婦合算申告) |
適用期間 | 2025年1月1日から2028年12月31日までの4年間 |
適用方式 | 所得税の課税対象所得からオーバータイム賃金額を控除 |
制限 | 修正後調整総所得が $150,000(Single)/$300,000(Married) を超えると段階的に控除額が減少 |
遡及適用について:この法律は、2025年1月1日に遡って適用されます。つまり、2025年1月以降に支給されたオーバータイム賃金は、年末の確定申告時に連邦所得税から控除可能になります。
実務上のポイント:
・現時点(2025年7月時点)では、ペイロール支払時の源泉徴収額に即時反映されるわけではありません。
・2025年中は従来の源泉徴収率が適用される可能性が高く、年末の確定申告時に返金や調整が行われます。
・IRSは2026年分以降の源泉徴収ガイドラインを新たに発表する予定です。
州所得税の取り扱い:この連邦法改正は、州所得税には自動的に適用されるものではありません。今後各州が独自に制度改正を実施しない限り、現行の州所得税の課税は引き続き維持されます。
州のタイプ | 状況 | 例 |
所得税がない州 | 対応不要。 | フロリダ、テキサス、ネバダなど |
連邦課税制度に連動する州 | 州議会の承認を経て連邦と同様の非課税措置を取り入れる可能性あり。今後の州の動きに注目する必要あり。 | コロラド、ミズーリなど |
独自課税制度を持つ州 | 現時点では非課税適用なし。今後法改正があるかどうか注意が必要 | カリフォルニア、ニューヨーク、ニュージャージーなど |
今後の対応: 必要に応じて、今後の法改正や税務当局からの通知に基づき、ペイロール計算・源泉徴収の方法を見直す必要があります。随時、最新情報をご確認ください。
参考資料 州別|通常の賃金・給与(W-2所得)に対する所得税制度分類(2025年時点)
1.州所得税がない州(ペイロールに対する所得税がゼロ)
以下の9州では従業員としてのペイロールに対する州所得税は課税されません。注:これらの州では、ペイロールから州所得税の源泉徴収がありません。
州名 |
備考 |
Alaska |
所得税なし |
Florida |
所得税なし |
Nevada |
所得税なし |
South Dakota |
所得税なし |
Texas |
所得税なし |
Washington |
賃金所得は非課税(ただし高額キャピタルゲインに一部課税あり) |
Wyoming |
所得税なし |
Tennessee |
所得税なし(以前の投資所得課税は2021年廃止) |
New Hampshire |
賃金所得は非課税(利子・配当所得は2027年まで課税対象) |
2.連邦課税制度に**連動・準拠する州(Federal Conformity States)
以下にリストする州は、連邦所得税制度(Adjusted Gross Income: AGI など)に準拠しながらペイロール課税を行っています。
ただし、連邦税の改正がそのまま反映される可能性はありますが、各州ごとに承認が必要です。
州名 |
備考 |
Colorado |
フラット税率制で連邦AGIをベースに課税 |
Idaho |
連邦AGIに基づく課税体系 |
Indiana |
フラット税率制。連邦AGIベース |
Iowa |
AGIをベースにした漸進税率体系 |
Kansas |
連邦AGI準拠。段階的課税 |
Kentucky |
連邦AGIをもとにフラット税率課税 |
Michigan |
単一税率制。連邦AGI準拠 |
Minnesota |
連邦AGI準拠だが独自控除あり |
Missouri |
連邦AGIからの調整後課税 |
Montana |
AGI連動型。税率段階制 |
Nebraska |
連邦AGIをもとに段階課税制 |
North Dakota |
AGIベースで税率適用(段階制) |
Oklahoma |
AGI連動型で独自控除あり |
Oregon |
AGIベース+独自控除の進歩的税率 |
Utah |
フラット税率制。連邦AGI準拠 |
West Virginia |
AGI連動型の段階税率制度 |
Wisconsin |
連邦AGIベース。控除・税率独自設計 |
注:これらの州でもオーバータイム賃金の非課税化を反映させるには、州法改正が必要となります。
3.連邦課税制度とは異なる、独自の課税体系を持つ州
これらの州では、連邦AGIを参考にしつつも、控除や課税所得の定義、税率などを独自に設計しており、連邦税の変化が自動的に反映されるとは限りません。
州名 |
備考 |
Alabama |
独自の課税控除と税率体系 |
Arkansas |
州独自の所得計算基準を使用 |
California |
非常に独自性の高い控除・税率制度 |
Connecticut |
州独自控除多数あり、連邦と乖離 |
Delaware |
連邦を参考にするが控除等が独自設計 |
Georgia |
AGI参考にしつつ独自控除あり |
Hawaii |
独自の広範な所得区分と税率設定 |
Illinois |
フラット税率制だがAGIと異なる調整あり |
Louisiana |
連邦AGIを基にしているが調整あり |
Maine |
州独自の課税基準と税率 |
Maryland |
州+郡単位で課税される(二重構造) |
Massachusetts |
所得の種類ごとに異なる税率体系 |
Mississippi |
州独自の税率・課税基準 |
New Jersey |
連邦制度と大きく異なる。控除方式も独自 |
New Mexico |
AGI参考にしつつ独自控除あり |
New York |
AGI参考にするがNY独自の控除・加算多数(NY市税も) |
North Carolina |
フラット税制だが独自課税控除あり |
Ohio |
州+地方(市)所得税あり |
Pennsylvania |
単一税率制(3.07%)。控除や控除対象は限定的 |
Rhode Island |
AGIベースに調整を加えた独自体系 |
South Carolina |
AGIをもとにしつつ独自の控除体系 |
Vermont |
連邦制度に準拠しつつ独自加減算あり |
Virginia |
州独自の税率と控除で構成 |
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