ニューヨークでは、2023年10月~2024年初旬にかけて、特記すべき法改正が決定しております。

1. エグゼンプト従業員(Executive, Administrative)の給与基準増額

ニューヨーク州では、労働法第6条(Wage Payment Law)により、独自の賃金の支払い方法や頻度、最低賃金や給与基準額等が設けられていますが、この度同法の改訂法案に州知事が署名したことにより、2024年3月13日よりエグゼンプト従業員の給与基準額を含む、以下のルールが変更になります。

2024年3月13日 $1,300/weekly= $67,600/year】
現行はエグゼンプト従業員(Executive, Administrative)の最低の週給額は$900を基準額として設定されていますが、この金額が$1,300に改訂されます。

※こちらは、以前お知らせ致しました2024年1月1日に増額適用がほぼ確定している「最低賃金法による増額」とは異なるものです。
(習慣的にノンエグゼンプト従業員の最低賃金の75倍をエグゼンプト従業員の週給基準として適用。2024年1月1日にニューヨーク市、ウェストチェスターカウンティー、ナッソーカウンティー、サフォークカウンティーのノンエグゼンプト従業員の最低賃金が$16/hourに増額されることが決定されているため、エグゼンプト従業員の週給は$1200=$62,400/yearに増額される予定。現在の公聴期間を経て、12月上旬には確定され、州による発表があるものと思われます。),

従いまして、2024年には2度、ニューヨーク州におけるExecutive及びAdministrativeカテゴリーのエグゼンプト従業員の給与基準の改訂が行われるとお考えいただいておくとよいと思います。

また、エグゼンプト従業員の給与基準額増額に関連して、以下2つの新ルールがございます。

銀行振り込みによる報酬支給は、事前の書面による同意が必要
銀行、その他の金融機関を利用して振り込みによる賃金・給与の支給は、事前に従業員より書面にて同意を取り付けなければなりません。また、給料日は最低でも月に2回の頻度とする必要があります。(現行通り)
ただし、Executive, Administrativeエグゼンプション適用の従業員でエグゼンプション給与基準額の週給$1,300以上が支給されている従業員はこの対象ではありません。

支払い義務のある手当や賃金補助の支給について
支払い義務のある手当や賃金補助は、支払期日から30日以内に支給されなければなりません。手当や賃金補助には、経費の払い戻し、健康保険手当、福利厚生手当、退職金、休暇手当、離職金、休日手当などが含まれます。
ただし、Executive, Administrativeエグゼンプション適用の従業員でエグゼンプション給与基準額の週給$1300以上が支給されている従業員はこの対象ではありません。

対応のポイント

2024年3月13日以降、該当の従業員に対しては最低でも年収$67,600の支給が必要となりますので、現行の基準額$58,500の15%強の増額となります。新しい給与基準を満たすような昇給が難しい場合には、従業員のノンエグゼンプト化が必要になります。

対応についてより詳しいアドバイス、ご相談が必要な際にはお気軽にこちらまでお問合せください。→info@infoactus-usa-com

 

2. ニューヨーク市“病欠法”(Earned Safe and Sick Time Act or “ESSTA”) の改正

全米で5名以上の従業員を雇用している場合は、有給での病欠提供が必要です。

ESSTAによって従業員に提供する病欠時間(Safe and Sick Time)は雇用主のサイズによって無給・有給、提供する時間が決められています。そのため、従業員数のカウント方法が重要な基準となりますが、今回の改正によって、そのカウント方法が明確になりました。
【対象従業員:フルタイム、パートタイム、関連会社と共同で雇用する従業員、休職中の従業員全て】
※全米の全拠点の総従業員数を適用します。

 

対応のポイント

基準とする従業員数は現歴年中の最高人数を適用するため、現在4名の従業員しか雇用していない場合でも暦年中に従業員数が増加し5名以上の雇用状態となった場合は、無給から有給での病欠提供に変更する必要があります。

また現行で5名以上の従業員数であることから有給で病欠を提供している場合で、従業員の離職等により4名以下の従業員数となった場合は、現暦年中は有給から無給へのポリシーの変更はできません。

また、ハイブリッドで就労する従業員で、オフィス外での勤務地(在宅勤務の場合は自宅の所在地)がニューヨーク市外である場合は、ニューヨーク市内の職場で就労する時間をベースに病欠を提供するものとなります。

対応についてアドバイス、ご相談が必要な際にはお気軽にこちらまでお問合せください。→info@infoactus-usa-com

3. 離職する従業員への失業保険受給資格に関する通知書の配布義務付け

2023年11月13日より、従業員が離職する場合(一時的な離職も含める)、または雇用主の都合により就労時間の削減がある場合、失業保険給付受給資格に関する通知書を配布することが、ニューヨーク州の全ての雇用主に義務付けられます

対応のポイント

こちらの通知書はニューヨーク州労働局がWEBサイトにて提供しており、日本語も含めた複数言語で用意されておりますので、必要に応じて適切な通知書をダウンロードしてご利用ください。
英語ver:https://dol.ny.gov/system/files/documents/2023/05/ia133_0.pdf  
日本語ver:https://dol.ny.gov/congyeyuanxiangketongzhi-ia133j-japanese 

※従業員にお渡しいただく前に、登記上の会社名、住所、レジストレーション番号の記入が必要です。

こちらの通知書は、職場での掲示も義務付けられております。

対応についてアドバイス、ご相談が必要な際にはお気軽にこちらまでお問合せください。→info@infoactus-usa-com

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