Washington, D.C.のPaid Family Leave(有給家族休暇)制度について、2026年10月1日より一部の給付期間および週当たり給付上限額が変更されました。
DCで従業員を雇用している企業では、ハンドブック内のPaid Family Leave Policyに従来の給付期間を記載している場合、内容の見直しが必要です。
1. 2026年10月1日からの主な変更
今回の変更では、Family Leave(家族のSerious Health Conditionのケア)およびMedical Leave(本人のSerious Health Condition)の最大給付期間が短縮されました。
変更後の給付期間は以下のとおりです。
| Leaveの種類 | 2026年9月30日まで | 2026年10月1日以降 |
| Parental Leave | 最大12週間 | 最大12週間(変更なし) |
| Family Leave | 最大12週間 | 最大12週間から最大6週間に短縮 |
| Medical Leave | 最大12週間 | 最大12週間から最大10週間に短縮 |
| Prenatal Leave | 最大2週間 | 最大2週間(変更なし) |
また、Maximum Weekly Benefit Amount(週当たり給付上限額)についても、従来の$1,190から$1,100に変更されました。
一方、Employer Contribution(雇用主による拠出)の仕組みや、従業員の賃金に応じて給付額を算出するWage Replacement Structure(賃金代替の計算方法)には、今回の改正による変更はありません。
2. どのClaimから新しい期間が適用されるのか
この改訂は、2026年10月1日以降に申請されるClaim(給付申請)に適用されます。
2026年10月1日以降に申請されるClaimについては、Family Leaveは最大6週間、Medical Leaveは最大10週間となりました。
3. 今回の期間短縮は現行法上、2030年まで
今回特に注意しておきたい点は、Family LeaveとMedical Leaveの短縮が、現行法上は恒久的なものとして規定されていないことです。
今回の改訂は、2026年10月1日から2030年9月30日までにfileされるClaimについて制限されており、2030年10月1日以降にfileされるClaimについては、Family LeaveおよびMedical Leaveともに最大12週間へ戻ることがすでに予定されています。
したがって、現時点では今回の給付期間短縮を「恒久的な変更」と捉えるのではなく、2026年10月1日から2030年9月30日までに適用される期間変更として理解することが適切です。
なお、2030年までにさらに法改正が行われる可能性はありますので、今後の動向についても確認が必要です。
4. Employee Handbookの確認が必要です
DCで従業員を雇用している企業では、現在使用しているハンドブックに掲載されておられるPaid Family Leave Policyの記載をご確認ください。
特に、例えば以下のように具体的な給付期間を記載している場合は、改訂が必要となります。
“Eligible employees may receive up to 12 weeks of Paid Family Leave for parental, family, or medical leave.”
2026年10月1日以降、この記載ではFamily LeaveおよびMedical Leaveの給付期間が正確に反映されません。
そのため、現在の制度に合わせ、
- Parental Leave:最大12週間
- Family Leave:最大6週間
- Medical Leave:最大10週間
- Prenatal Leave:最大2週間
という内容が適切に反映されているか確認することをおすすめします。
また、Maximum Weekly Benefit Amountを具体的な金額でHandbookに記載している場合も注意が必要です。給付上限額は今後変更される可能性があるため、Handbookでは具体的な金額を固定的に記載せず、DC Department of Employment Services(DOES)が適用法令に従って給付額を決定する旨の記載とする方法も考えられます。
5. Mandatory Employee Notice確認・従業員への提供
DC Paid Family Leaveでは、雇用主は所定のEmployee Noticeを職場に掲示するだけでなく、Covered Employeeに対して個別に提供することも求められています。
Noticeは以下のタイミングで従業員に提供する必要があります。
- 採用時
- 毎年
- 雇用主が従業員にPaid Family Leaveの必要性があることを認識した時
また、職場の目立つ場所に掲示・維持する必要もあります。
現在、DC Office of Paid Family LeaveのEmployer Toolkitページには2026 Employee Noticeが掲載されていますので、DCに従業員を雇用している企業では、現在使用しているNoticeが最新版となっているか確認するとともに、必要な従業員への提供および掲示が適切に行われているか確認してください。
DC Office of Paid Family Leave – Employer Forms
https://dcpaidfamilyleave.dc.gov/employers/employer-forms/
ハンドブックポリシーの改訂だけでなく、最新版Noticeの従業員への配布もお忘れなくご対応ください。
6. DCFMLAとは別の制度です
今回変更されたDC Paid Family Leaveと、DC Family and Medical Leave Act(DCFMLA)は2つの異なる制度です。
DC Paid Family Leaveは、一定の理由で仕事を休む従業員に対して、主としてWage Replacement Benefit(賃金代替給付)を提供する制度です。
一方、DCFMLAは、適用要件を満たす雇用主および従業員について、Family LeaveおよびMedical Leaveに対するJob-Protected Leave(雇用保護付き休暇)についての要件を定めています。
DCFMLAでは、原則として、Leave開始前の7年間のうち同一雇用主に合計12か月以上雇用され、かつ、その12か月間に少なくとも1,000時間勤務している従業員が対象となります。対象となる従業員には、Family Leaveについて24か月の期間内で最大16週間、Medical Leaveについても24か月の期間内で最大16週間のLeaveが認められています。
したがって、今回DC Paid Family LeaveのFamily Leaveが6週間、Medical Leaveが10週間に短縮されたからといって、DCFMLA上のLeave Entitlement(休暇取得権)そのものが6週間または10週間に短縮されたわけではありません。
従業員のリーブを管理する際には、Paid Family Leaveによる給付と、DCFMLA、Federal FMLA、会社独自のLeave Policyなど、それぞれの制度が同時に適用される可能性について確認する必要がありますのでご注意ください。
7. Employerが確認しておきたいポイント
DCで従業員を雇用している企業では、今回の変更を受けて、次の点を確認することをおすすめします。
- ハンドブックに掲載している、または別紙で提供しているPaid Family Leave Policyに記載されている給付期間が最新の内容に改訂済みかどうか
- Maximum Weekly Benefit額を明記している場合、改訂後の金額に改訂済みかどうか
- 職場に掲載の、また従業員へ配布したMandatory Employee Noticeが2026年版かどうか
- Leave申請を管理する社内担当者が、2026年10月1日以降の新しい給付期間を理解しているか
今回の変更は給付期間そのものに影響するため、DCで従業員がいる企業では、ハンドブックポリシーや関連するリーブポリシーをこの機会に是非ご確認ください。
現在のポリシー内容の確認や、今回の変更を反映した改訂をご希望の場合は、お気軽にお問い合わせください。
(本資料は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。)
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