先日、ラスベガスで開催された HR Technology Conference(HRTECH) に参加しました。
最新の人事テクノロジーに触れると、理論ではなく“現場の変化”を強く感じます。
先日参加したHRTECH(HR Technology Conference)でも、それを肌で体感しました。
👉会場で見聞きした主なソフトウェア / 技術例
分野 | 機能/特徴 | 用途 |
採用支援 / レジュメ評価 | 自動レジュメスクリーニング、適性マッチング、面接日程調整支援 | 候補者の職歴・スキルをAIで分析し、最適ポジションとのマッチ度をスコア化 |
労働力分析(Workforce Analytics) | 社員の離職予測、スキルギャップ分析、組織構造の可視化 | 過去データをもとに「どの部門がリスク高か」などを予測する |
給与・報酬管理 | 報酬設計支援、自動調整、報酬ベンチマークとの連携 | 「Beqom」(報酬の自動化)という名前でPayroll自動化 |
組織・エンゲージメント | 社員サーベイ、感情分析、従業員フィードバックプラットフォーム | アンケート結果をAIで傾向・ランキング表示するなどの機能 |
L&D(学習・育成)支援 | 個人最適化されたカリキュラム提案、eラーニング、スキルモデリング | 研修履歴・目標スキルと実績データを基に、次の学習項目をAIでレコメンド |
統合HRプラットフォーム | 人事システム(HRIS)、シングルデータベース、クラウド連携 | 総合系プラットフォームの展示・連携 |
AI・会話型インターフェース | チャットボットによる従業員問い合わせ対応(労務質問、休暇申請 等) | 従業員からの問い合わせを24時間自動応答、FAQ検索、案内ナビゲーション支援 |
AI駆動型リコメンデーション | 社員異動、キャリアパス推薦、プロジェクトアサイン | 「この人には次こんな部署が合う」「このスキル組合せならこういうプロジェクト向き」などの推薦機能 |
これらを実際に自分の目で見て、「ただ技術のお披露目」ではなく、「今/近い将来に現場に入る余地があるもの」が多いと感じました。
例えば、あるHRアナリティクスベンダーでは、社員サーベイや勤務データをAIで分析し、部署ごとの離職リスクや生産性低下の兆候を可視化する機能を紹介していました。
また、別のベンダーでは、社内のスキルマップやプロジェクト履歴をもとに、社員の最適な異動や育成プランをAIが推薦するデモを行っていました。
ただ、どのブースでも強調されていた点は、「これらは意思決定支援 = Support であって、最終判断は人がすべき」というスタンスです。
✅HRTechに足を運んで実感したのは、人事分野のテクノロジーは、もはや“試験的な段階”を抜けつつあるということです。
単なるバックオフィス自動化だけでなく、「予測」「推薦」「最適化」まで踏み込むものが着実に現場導入フェーズに近づいています。特に、
- AIによる履歴書/職務経歴書の自動評価
- 候補者とポジションのマッチングスコア
- 社員の将来的キャリアパス推薦
- 部門間の最適配置シミュレーション
- 離職リスク予測
などは、単なる機械的な効率化だけでなく、戦略的な人材マネジメントを支える“意思決定補助ツール”へと進化してきています。
しかし、ここで改めて強調したいのは、 最終判断権は人間(=人事担当者・マネジャー)にあるべきだ ということです。
- AIは過去データからの傾向をもとに判断を助けるが、未来は過去の延長線上にはない。
- データには偏りや抜け・誤りが必ず存在する。
- 社員の「人間らしい事情」「熱意」「変化する価値観」などは、定量データだけでは拾いきれない。
- AIの提案を鵜呑みにすることは、「人が考える余地を奪う」危険もはらむ。
したがって、これからの人事テクノロジーの使い方は、人 × AI のハイブリッドな協働を前提に設計すべきだと感じます。
最終的には、人事担当者・経営者・マネジャーが、AIの示す情報・スコア・シグナルを「読み解き」「咀嚼し」「判断する」目を持つべきだと思いました。


