ニューヨーク州の搾乳休憩時間(30分)が有休化 (6.19.24)

    この数年で、妊娠・出産に関わる保護のための連邦法の導入や州法の改正が目立ちますが、ニューヨーク州では、労働法の改正により、6月19日より、授乳中の従業員に対し、母乳搾乳のための30分間の有給休憩時間を提供することがニューヨークで従業員を雇用する全ての雇用主に義務付けられます。

    昨年も、授乳中の従業員に対する職場での搾乳休憩の提供及び、搾乳休憩場所やタイミングについての詳細を導入した同法の改正がありました。昨年の改正では、雇用主は従業員に対し、少なくとも3時間に1回、または従業員の合理的な要求に応じて、搾乳のための合理的な無給の休憩時間を提供することを義務付けましたが、今回は、この搾乳休憩(ただし30分まで)の有休化という要件が加わり、ニューヨークにおける産後の従業員への保護がさらに手厚くなりました。

    30分を超える休憩時間を使用する合理的な必要性がある場合は、その都度従業員が搾乳を行う目的で他の有給休憩時間または食事時間を使用することを認めなければなりません。この有給休憩時間の要件は、出産後最長3年間適用されます(現行通り)。同法は、従業員が1勤務日に取得できる30分の有給搾乳休憩の回数に制限が設けられるかどうかについては言及していないことから、30分以内の搾乳休憩は、1日に1度以上使用された場合でも有給で提供されることをお勧めします。

ニューヨーク市 “Know Your Rights at Work”ポスターの職場での掲示及び従業員への配布の義務導入(〜7月1日までに対応が必要)

    ニューヨーク市の雇用主は、市が用意した「Know Your Rights at Work」ポスターを従業員に提供することが義務付けられました。このポスターは、労働者に対し、市、州、連邦の重要な労働法の概要が記載されたニューヨーク市のthe Workers’ Bill of RightsのウェブページへのQRコードによる簡単なアクセスを提供するものです。

   ポスターのダウンロードはこちらから。  Know Your Rights at Work Poster (nyc.gov)

*QRコードでこちらのWebページにアクセスすることが可能です。https://www.nyc.gov/site/dca/workers/workersrights/know-your-worker-rights.page

このWebページでは以下にリストしたような労働者にとって有益な情報が提供されています。(以下の項目以外のエリアも広くカバーされています。)

          • 報復の禁止:雇用主は、労働者が各種労働法等で保障された権利を行使したことに対し、罰したり、解雇したり、労働者にとって不利な措置を取ることはできない。報復(疑惑を含む)の被害を経験した場合は、直ちに消費者・労働者保護局(Department of Consumer and Worker Protection, 略称DCWP)に通報すること。
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          • 有給安全・病気休暇 :従業員は有給の安全休暇および病気休暇を取得する権利があること。
          • 一時的なスケジュール変更: 特定の労働者には、一時的なスケジュール変更を要求する権利があること。
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          • ファーストフード労働者の権利、小売・公共施設安全労働者の権利、フードデリバリー労働者の権利、フリーランス労働者の権利のリマインド
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          • 最低賃金と労働時間の権利、Paid Family Leave、Workers Compensation及びDisabilityベネフィットのリマインダー。ただし、これらに関してはDCWPの管轄下にはないこと。
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          • 強制労働の禁止、安全で健康的な職場、差別のない職場、組合組成の権利は労働者にとって不可欠な権利であること。
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          • 健康保険、正しい労働者の区分(つまり、インディペンデントコントラクターとしての雇用が法的に適切かどうか)、求職者の権利のリマインダー。

Washington D.C. – Wage Transparency Omnibus Amendment法の施行 2024年6月30日

   D.C.法が改訂され、2024年6月30日より、求職者の選考プロセスにおける以下の項目の遵守がDCの全ての雇用主に義務付けられます。同法は、D.C.内での職務に限らず、D.C.をベースとした雇用主が、在宅勤務等の形態を使ってD.C.外で就労する従業員を採用する場合も(会社自体はD.C.をベースとしていない場合でも、管理職者がD.C.で在宅勤務等を行なっており、D.C.外で就労する従業員でこのD.C.で就労する管理職者の管理下におく場合もこの状況に含まれます。)、またD.C.をベースとしていない雇用主でも、D.C.内で従業員を採用する場合は適用されます。採用面接に関わる従業員には注意喚起をお願いいたします。

 Wage Transparency Omnibus Amendment法 概要   

 賃金の公平性を促進するために制定されましたWage Transparency Omnibus Amendment法(賃金透明化包括改正法)」が、2024年6月30日に施行されます。同法の施行により、採用プロセスにおける給与情報の透明性と公正性を促進するために、以下のようないくつかの重要な要件が導入されます。

      • サラリーレンジの開示義務:D.C.の雇用主は、すべての求人広告においてそのポジションの最低および最高の給与を開示することが義務付けられます。この措置は、求職者が応募前に潜在的な収入を明確に理解できるようにし、求職者が誤った印象を持って応募をすることを避けるための公正性の定着を目指しています。
      • ヘルスケアベネフィット(従業員に提供している医療保険の情報)情報の開示: サラリーレンジとともに、D.C.の雇用主は最初の面接前に従業員に提供されている医療保険の情報も開示しなければなりません。ただし、この開示情報には、保険会社名やカバレッジの詳細などの具体的な情報を含む必要はなく、どのような健康保険を(医療保険、歯科保険、視力矯正保険など)提供しているのかのみでかまいません。
      • サラリーヒストリー情報要請の完全禁止: 同法は、採用プロセスのいかなる段階においても候補者の現在及び過去の給与について問い合わせることを完全に禁止しています。サラリーヒストリーには、給与・賃金額だけではなく、ボーナスやインセンティブプランについての質問や、健康保険などのベネフィットの情報も含まれますのでご注意ください。

       

    •  さらに同法に関する情報を従業員に周知するために、通知書を職場に掲示することも義務付けられていますが、まだD.C.政府(the DC Department of Employment Services)によって通知書が発表されていません。同法の施行日、2024年6月30日までには用意され公表される予定となっていますが、通知書が間に合わない場合でも、同法は6月30日には有効となりますので、採用プロセスの見直し、人材紹介会社への提供する情報の見直しなど、準備を進めてください。同法は、採用プロセスに関連するものですが、既存の従業員への周知も必要です。

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